原則と例外

 法律は,突き詰めてみれば,原則と例外の組み合わせで,排他的論理和論理和と例示列挙が続くと言っても過言ではないらしい。原則的立場を宣言し,具体的妥当性は例外要件効果で処理する。法文の「本分と但し書き」がその典型だ。ただ,この策定(法立法学)に力関係のバイアスが加わると「総論賛成・各論反対」の泥沼ラビレンスに陥るらしい。消費税の前身である「売上税」の例外非課税要件にみながむらがってバイアスかけまくりで頓挫したらしい。消費税でも,誰だって増税が嫌いだから,ある分野は非課税となった。その結果,消費税分の仕入れ価格が上昇しても非課税の「恩典」があるため,自己の販売価格に上乗せ転嫁できなくなった(便乗値上げだとマスコミバッシングの標的になったらしい。)というアイロニーを生んだ。
 ことに巧遅より拙速が至上命題となる緊急事態の法理では,例外は極めて限定列挙的で緊急性があるもの以外は認めない,というテーゼが妥当する。例外設定の申込・審査・(関係省庁との)合議・協議・決定・上級庁の決裁という民主的なプロセスを踏んでいては,緊急事態の「拙速法則」に反するからだ。
 米国で読んだ戦争漫画*1のパロディがそうだった。少尉が中隊に突撃命令を出すと,二等兵の顧問弁護士が駆け寄り,「無謀な突撃で死刑宣告と等価だから合衆国憲法違反だ」と抗議し,小隊の生命保険会社のアジャスター(調査員)も駆け寄り,「故意または重過失の戦闘遂行行為(交戦規則違反)だから保険の支払いを拒否する」と通告する。そのため,3人で,「無謀」「突撃」「重過失」の定義論争や要件論争がはじまり,ディスティンクション(区別の法理)の適用があるかの協議に入ったとき,敵陣から放たれたミサイル一発で,弁護士とアジャスターもろとも小隊が全滅した。*2

*1: 記憶では新聞に掲載された漫画だったと思う。プライマリースクールでチビども…σ(^_^)…の間で随分話題になり,弁護士と軍人の子弟チビどもが顔を真っ赤にして反論していたっけ。保険会社やアジャスターの子弟はいなかったようだけどw

*2:私のつたない記憶では,天国へ昇る雲の上で,光輪付きの少尉と弁護士とアジャスターがまだディスティンクションの議論を続けていた。それを天国の入口でレディ・ジャスティス (正義の女神/ギリシャ神話の女神テミス/ローマ神話の女神ユースティティア)が苦々しげに見ていた。というヲチがついていた