猛暑の夜の夢
死刑場は,実は「日本のチェスマン」と呼ばれたS死刑囚(既決済み)の死刑執行停止仮処分と死刑場の検証記録で,公刊物で写真付きで公開されてます。故人で個人でもある一介の公務員の言から引用です。
死刑廃止論者は,私が心底尊敬する団藤先生でも,某宗教団体の教祖に死刑は判決が下された時,声を大にして,「教祖を死刑にするのは死刑廃止の観点から良くない!」と活動しないと,国民の支持は受けられない。
死刑肯定論者は,粛々と死刑を受け入れる人間の良心に目覚めた死刑囚の死刑執行に際して,「それでも吊るせ!」と国民を説得できないと支持を失う。
Q「パパリンは死刑制度に肯定なの?否定なの?」
A「それは国民が多数決で国会で決めることだよ。」
Q「被害者遺族は絶対的少数だから,多数決の横暴と批判……」
A「いいとこに気付いた。法は弱者保護。多数の説は多数決がビルトインスタビライザーで守ってくれるから,それから漏れた万人普遍の自由な価値を守るのが法律であり,違憲法令審査権である(ホームズ元判事)。」
Q「自由主義的統治の原理(清宮教授)って,民主主義(民意の多数決)を否定しない?」
A「いい質問だ。民主主義(議会制)と自由主義(人権保障とくに少数者)は,トレードオフに近い相克関係で,法律で飯を喰う人は,裁判所提出と記者会見とを問わず,皆が悩んでいる。」
英語の某サークル全国組織とフランス語の同全国組織は,「死刑」と「核兵器(戦争)」で新入生用ディベートをよくやることで有名です。地区予選を突破するディベート・テクですが,暗喩的に表記すると「核兵器テロで10万人を死亡させた犯人には,死刑以外を刑を考えることができるか?」という主張です。*1
ことほど,戦争ジェノサイドにしろ,死刑の執行による数十名の国家による殺人にしろ,人間性や価値観*2の根源まで遡るから,一筋縄でいかない。*3