バックチャンネル

 ジャパニーズは交渉と議論が下手糞だ,とよく米国で言われて悔しい思いをした。相手のアメリカ人は,実は私のことをニッセイ*1と勘違いして放言しているので,私がムカッと反発すると,「アー,ユー,アメリカーン?アーン?アー,ユー,ジャップ,バック?」と再反発されたものだ。
 それはさておき,ジャップ・ダブルスタンダード・イズ・スニーキーと批判するアメリカ人も中国人も英国人(一部?)も,ホントはダブルスタンダードですが*2,表だってダブスタを使えない面子があるので*3,バックチャンネルを使います。
 子供の世界だと判り易い。ホントは自分が悪いと道徳的価値観で思って相手と長期短期の戦略で和解したくても,プライドから面と向かって(フェイス,トゥー,フェイスで)言えない場合,双方の友人にとりなしを密かに委託して,双方の友人のチャンネルを使って「もう仲直りした方がいいんじゃない?」と,自分が頼んだことを秘密にしてもらって言ってもらいます。*4
 これが「バックチャンネル」*5で,軍事スパイなんかの諜報の世界でも,れっきとしたテクニカルタームになっています。つまり,表面的には,こぶしを振り上げたままで,裏のアンダーザテーブルの世界チャンネルでは密かに和解を申し入れるダブスタなんです。
 キューバ危機では,ロバート・ケネディーとソ連駐米書記官某が双方のバックチャンネルになって核戦争回避の落とし所を探ったと言われています(諜報業界の隠れた通説)。日台間が緊迫すると,「偶然にも,英国民間人・米中国交正常化後は中国系米国人の民間人・ときどき退役した日本自衛隊退役民間人らが,中台を訪問する」という歴史的事実があります*6
 よろしかったら,小学校〜高校の喧嘩和解の童心に帰って,バックチャンネルを駆使して,対立解消に動いてみませんか?

    • 交渉も,議論(ディスカッション)も,ディベートも,喧嘩(ファイティング)ですらも,相手の意見や立場を理解することにある。結論が永久にでなくても by Dr.マイケル・サンデル

(出典:パパリン・メモランダム)

*1:日系アメリカ人の2世,3世及び4世の総称で必ずしも2世に限定されて使われていないことにご注意ください<(_ _)>

*2:おそらく人類ヒューマンビーイングの特性だと思います

*3:英米人だって日本語の「面子」と等価なプライドを持って体面を潰されたことを嫌いますよ。以外に思うかも知れませんが

*4:日本でNHKが放映している米国TVドラマ「ビバリーヒルズ高校白書」でも,よく出てくるプロットです

*5:"back channel","back-channel","backchannel"

*6:出典は中台往復が得意な英米民間人複数の回顧録参照