管理された危機

なぜ日本人はリスクマネジメントができないのか? 加藤陽子東京大学文学部教授に聞く【第3回】池上 彰 2011年8月30日(火)
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>加藤:リスクを織り込まなかった理由の1つに、こうしたリスクを織り込むのは目先のコストがかかるから、というのがあるでしょうね。でも、そのコストを負うのを恐れると、今回のような巨大災害が起きた時に、もっと大きなコスト=被害を招く結果に陥ってしまう。
>池上:どうも日本人は、リスクとコストの天秤のかけ方が下手ですね。もしかすると、コストと資産の区別がついていないからではないのかもしれません。震災や津波に対する十二分な対応策や施設や人材を、コストとみるか資産とみるかで、対応は180度異なってきますから。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20110824/222247/?P=3
>加藤:悲惨に中で頑張るヒーローというのは描きやすい絵ですが、その背景部分、「悲惨さ」を過大に描く競争になってしまっては困ると思うのです。
>池上:マスメディアにも責任がありますね。彼らの行動を英雄としてただ称えるだけ。あれでは、戦時中の翼賛報道と変わりません。
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>加藤:欧米では、本当にリスクのあるシステムは、フールプルーフとフェイルセーフ、という発想を織り込んで設計する、と聞きます。フールプルーフとは「誰が扱っても大丈夫」、フェイルセーフとは「間違えても大丈夫」、という意味。人間は必ず間違える、という前提条件に立ったうえで、リスクを回避できるようにする、というのが基本的な発想だと思います。むちろん、大部分の日本の技術もそうなっていたはずなのですが。
>池上:今回の原発事故の対応と原発施設のリカバリーの難航ぶりをみると、人的な面でのフールプルーフの思想も、技術面でのフェイルセーフの思想も、反映されていなかったことがはっきりしますね。

 私が災害派遣用のレーション(戦闘糧食)を米軍基地のPXで揃えて,決して市町村推奨の乾パンや缶詰*1を買わないのと同じです。ぶっちゃけかなりハイコストです*2。今みたいに円高でないときに買ったから1食当たり約1000円はしました。しかし,新幹線と同じで,第二次大戦以降改良に改良が重ねられ,安全で水なしで食しても喉が渇きませんし,馬鹿な頭で乱暴に扱っても破砕したりしません。乾パンが1kgあっても水なしで食せますか?ビタミンやミネラル不足で1週間後に意識朦朧となって起こす事故を防げますか? まさに,フールプルーフとフェイルセーフなんです。「災害派遣要員」が倒れたら「災害を派遣する要因」となってしまいますから。PXまで出かける手間とコストアップを管理することで,何時派遣されるかわからない災害に備えるのです。備えあれば憂いなし!です。

*1:安物だと缶切りが6個当たり1個しかないですよ。そして分厚いブリキ缶は重いしかさばりますから,水缶付き1週間分約20食はリュックに詰め込めない容量ですし,無理して担いだら普通の人だと腰が抜けます

*2:国産非常食換算で倍額,東京大阪のリーマン昼食でも倍額から200円アップ,私の自炊弁当食換算だと3倍以上ですが(^^ゞポリポリ