ひっかけ爆問

川崎逃走:逃げた容疑者は勾留前 逃走罪の対象にならず
毎日新聞 2014年01月09日 21時11分(最終更新 01月09日 21時23分)
http://mainichi.jp/select/news/20140110k0000m040072000c.html
>勾留されている容疑者・被告か刑務所に収容された受刑者が逃走した場合は逃走罪の対象となる。しかし、杉本容疑者が地検川崎支部から逃げ出したのは裁判所が勾留決定をする前だったため、逃走罪は適用されない。
>杉本容疑者を発見後、速やかに身柄を拘束するため、今回は地検が逮捕状を取り、県警に執行してもらう形を取った。このため、逮捕された杉本容疑者は地検川崎支部に移され検察官の取り調べを受けた。裁判所の勾留決定後、杉本容疑者は県警本部に移され、今後は県警が調べを進める。

 これは司法試験受験業界の刑法各論・国家的法益に対する罪で有名な引っかけ問題です。令状逮捕(通常逮捕・緊急逮捕)でも逮捕中は「単純逃走罪」(刑法97条)は不成立です。

(逃走)
第九十七条 裁判の執行により拘禁された既決又は未決の者が逃走したときは、一年以下の懲役に処する。
(加重逃走)
第九十八条 前条に規定する者又は勾引状の執行を受けた者が拘禁場若しくは拘束のための器具を損壊し、暴行若しくは脅迫をし、又は二人以上通謀して、逃走したときは、三月以上五年以下の懲役に処する。

 97条に言う「裁判の執行……者」とは,勾留決定による勾留や有罪判決による受刑それに鑑定留置や労役留置による身柄拘束を受けた者をいい,98条の「勾引状の執行を受けた者」との比較で,短時間の拘束である勾引状による勾引や逮捕を含みません(通説・判例)。亡父も旧司法試験短答問題*1でひっかけられたそうです(爆。

*1:正確に言えば過去問演習でもののみごとに×をくらって悔しがったらしいですw