天命

 父が昇天した。天命と覚悟の上だし、宗教と聖書と父の主治医が私を見守ってくれた。ソーロング、スリープ、ウエル、マイ、パパ。
 もともと私は、父の延命を図り医学部を目指した。しかし、一次の筆記試験を奇跡的にパスした直後、主治医から父の死期が迫っていることを告げられた。家族への告知は父の意思によるものだという。リアリィ。
 私は迷わず文転して急遽法学部に切り替えた。それは、父のやり残した遺志を継ぎたかったからだ。ファザコンと呼ばれてもいい。たとえ私が父を心底嫌っていてもこの遺志は誰かが継ぐべきだと思ったと思う。メイビー。
 父は実の娘の目から見ても、変人で博覧強記なヲタクだった。ダボハゼのごとく好奇心と知識欲の塊で、自宅に書斎とは別の書庫を持つ父親がいる子供は私と弟だけだった。理系と文系が左脳と右脳に同居してる奇人だった。アンビリーバボ。