逆転高裁判例

 とりあえず,原審札幌高裁判例を見ると。

平成15(う)266号商法違反被告事件・平成18年08月31日札幌高等裁判所刑事部破棄自判
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20060922151358.pdf
>ホテル建設資金は約155億円と報告していたが, その1か月後, 被告人丙からホテル建設資金は約200億円かかるとの話が出された
拓銀の顧問弁護士であるn弁護士にIの農地取得方法について相談したところ, 同弁護士からは農地法に違反する疑いがあると指摘され
>(大蔵省銀行局から丙経営のCに関し)「当行は, 大規模レジャー施設建設資金への応需に際し,マーケット調査や資金計画等の事業計画の検討が不十分であったため入場者数の大幅な計画未達や追加用地取得等で収支計画に狂いが生じ,オープン後間もなく業績不振から事業計画の修正を余儀なくされているほか,債務者の業況が厳しい状況下にあるにもかかわらず集客面での波及効果を狙うという債務者からの要請に引きずられ,事業拡張に関する具体的事業計画の策定等がないままでの隣接地買収を容認するなど, メイン行として指導力に欠けた融資姿勢となっている。」などと指摘され
>被告人乙の了解及び指示を得た上,被告人丙に対し,「Eホテルを筆頭にグループ各社とも大幅赤字を計上し,極めて深刻な状況にある。特に,ホテル事業は,元々260億円もの投資ではどう考えても到底採算に合うものではなかった。全ては採算を無視した過大投資に起因しており,大幅赤字は当然の結果である。当行としては,株主,監督官庁,改正商法等に対応する意味からも赤字たれ流し状態の先に対し返済目途のない赤字資金を無条件で融資する訳にはいかない。今回申込みを受けたE ホテルの運転資金(赤字資金)については, 本来お断りせざるを得ないものであるが, 諸般の事情に鑑み必要最小限の資金について条件付きで採り上げを検討する。」とし

という理由の冒頭(約60ページ)の流れでは,赤字垂れ流し企業の起死回生を狙った開発事業は,客観的な第三者検査でもイエローカードからレッドカードに近い評価を受けていたという事実認定が延々と述べられています。そして中ごろでは

>大蔵省大臣官房金融検査部検査官……は, Bグループについて, 「Bは,本業の売上高,企業規模が小さいにもかかわらず,N プール建設,ホテル建設,今後の計画など,どれをとってもやっていける企業ではない。実質,死に体ですよ。Bはどこまでもちこたえられるか。銀行はいつまで資金支援するつもりなのか。赤字資金はいつまで出し続ける気なのか。」,茨戸開発について,「今は頓挫している。しかし金は出してある状態でしょう。元々リスクのあった事業。それを金消でやっている。銀行も一緒に踊ったということだろう。… ひどい話だ。当行の経営を疑います。赤字資金を出して先送りだ。利息を取っているが実質未収でしょう。赤字資金融資というのは大変なことですよ。

とまでプロの第三者の検査官から断じられていては……素人から見てもブラックカード(倒産確実先債権)でダメダメじゃん。
 まだ,原審高裁判決の半分しか読んでないけど,「1、2審では図利目的について判断が分かれ……今回、最高裁はこの点には判断を示さなかった。」というのは,高裁の判断を追認したから最高裁は新判断を示す必要がなかったのだろう。(,,゚д゚) フー・・・