追記11/12

 早くも最高裁判決がWeb上で公開。

http://kanz.jp/hanrei/detail.html?idx=5059(要旨HTML)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20091112105205.pdf(決定全文PDF)
>所論にかんがみ,銀行が取引先に対し不適切な融資をする際に問題となる特別背任罪における取締役の任務違背について,職権により判断する。
>Dグループは,本件各融資に先立つ平成6年3月期において実質倒産状態にあり,グループ各社の経営状況が改善する見込みはなく,既存の貸付金の回収のほとんど唯一の方途と考えられていたG地区の開発事業もその実現可能性に乏しく,仮に実現したとしてもその採算性にも多大の疑問があったことから,既存の貸付金の返済は期待できないばかりか,追加融資は新たな損害を発生させる危険性のある状況にあった。
>被告人A及び同Bは,そのような状況を認識しつつ,抜本的な方策を講じないまま,実質無担保の本件各追加融資を決定,実行したのであって,上記のような客観性を持った再建・整理計画があったものでもなく,所論の損失極小化目的が明確な形で存在したともいえず,総体としてその融資判断は著しく合理性を欠いたものであり,銀行の取締役として融資に際し求められる債権保全に係る義務に違反したことは明らかである。
>そして,両被告人には,同義務違反の認識もあったと認められるから,特別背任罪における取締役としての任務違背があったというべきである。これと同旨の原判断は正当である。
>裁判官田原睦夫の補足意見は,次のとおりである。
>被告人A,同Bを含む拓銀の経営陣は,平成5年7月の時点で,Dグループが債務超過状態にあり,赤字を垂れ流している状態にあることを認識しながら,……法廷意見にて指摘するようにその実現可能性の極めて薄いG開発に意を払うのみで,Dグループに恒常的に発生する赤字の補填資金としての本件犯罪事実に係る各融資を漫然と継続していたものであって,自行の融資金の管理に意を払い不良債権の発生を抑止するという,銀行の取締役として当然の責務を果たしていなかったと言わざるを得ないのである。
>そうすると,本件各企業に対する各融資は,経営判断の原則の適用の可否を論じるまでもなく,銀行の頭取としての任務に違背していたものであることは明白である。

 補足意見は原審札幌高裁よりキツイじゃん。ダメダメのダメダメじゃんか。
 こんなので無罪判決書いた地裁の裁判官って何を考えてんだろか。証拠は高裁でさほど追加されなかったらしいから*1,証拠はほとんど同じはずなんでしょ。*2

*1:高裁の弁護人は「何も新しい証拠はない」と断言してインタビューで上告すると言ってた

*2:一審で採用却下になった自白調書は高裁も却下したから最高裁も自白を知らないはず