ダメダメ答案

1 自称サンタは,名前と容姿と出発地点から外国人と解され,出入国審査を経ないで本邦に上陸したから,有効な旅券の有無を問わず出入国管理及び難民認定法の不法入国罪が成立する。
2 ここで問題となるのは,自称サンタはトナカイソリで空路到達したから,航空法の耐空証明無き航空機運航罪と無免許操縦罪及び航空管制を受けない運航罪の成立が問題となる。私は,いずれも不成立で不可罰と解する。なぜなら,サンタソリについては,米国FAAが毎年耐空証明を発行して飛行許可(操縦免許を当然含むと解される)と他の航空機の衝突回避義務勧告を発行しており(USFAAのサイト参照),米国発行の耐空証明と操縦免許は日本のそれとして有効であり(本邦の航空法令参照),この理は,航空管制許可等にも類推されるべきだからである。被疑者に有利な類推解釈は許されると解する(通説)。
3 自称サンタは,甲夫婦と乙が居住する住居に通常の玄関ではなく社会的に相当でない煙突から侵入したから,住居侵入罪の構成要件に該当する(刑法130条)。甲夫婦や乙が不在でも結論は変わらない。なぜなら,住居とは人が現に起居する場として使用されれば保護の対象となり,人の現在すると否とを問わないからである(通説判例)。
4 問題は,自称サンタの侵入及び乙の部屋への立ち入りは,違法性が阻却されるか否かである。これについて被害者の承諾ないし推定的承諾の問題とする見解もあるが,妥当でない。自称サンタがプレゼントをイブに配るのは国際慣習であるから,社会的相当行為又は正当業務行為そのものとして,一律に違法性が阻却されると解する。したがって,乙の張り札云々は結論を左右しないし,8歳児の承諾能力の有無も結論を左右しないと解する。
5 この場合,甲乙がクリスチャンか否かを問題にする見解もあるが妥当性を欠く。というのは,クリスマスとサンタは本邦では習俗であって(通説),宗教の如何を問わず等しく違法性が阻却されると解すべきであるし,そう解さないと法的安定性を害するからである。もちろん,侵入や立入の手段方法が相当でない場合は別であろうが,本問の自称サンタは,習俗に従って煙突から侵入して子供の部屋へ立ち入っているので,なお,社会的相当性を有すると解される。
5 自称サンタの本問の一連の行為は,不法入国罪を除き,不可罰である。
                       以  上

 マテコラ,住居侵入罪は,「正当な理由」という本来の違法要素が構成要件化されているから,構成要件該当性を認めた段階でダメダメじゃん。国際慣習で違法性阻却を認めるなら,不法入国罪にも違法性阻却認めないと,一番やってはいけない同一答案内の論理矛盾じゃん! オーマイガッ