最高裁初判例

 といっても医療問題ではなくて,ネット上の名誉毀損です。

名誉棄損「報道と同基準」=ネット書き込みで初判断−会社員の有罪確定へ・最高裁
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc&rel=j7&k=2010031600747
>インターネット上でラーメン店チェーン運営会社を中傷する書き込みをしたとして、名誉棄損罪に問われた会社員■■■■被告(38)について、最高裁第1小法廷(白木勇裁判長)は15日付で、被告側上告を棄却する決定をした。罰金30万円とした二審の逆転有罪判決が確定する。

 どういう事案かというと↑のとおりで,一審東京地裁が,ネットの対抗言論の理論で*1ネット上の名誉毀損は限定的に解釈されると独自の論理で無罪とし,検察官控訴で東京高裁は,旧来の通説判例理論にしたがい逆転有罪としたため,被告人上告*2となった事案です。
 報道によれば,最高裁

  • >ネット上の個人表現での名誉棄損罪の成立について、「ほかの表現手段と比べ、より緩やかな要件を適用すべきではない」
  • >個人発信のネット情報について、「信頼性が低いと受け取らない閲覧者もおり、ほかの表現手段と区別して考える根拠はない」
  • >ネット情報は不特定多数が瞬時に閲覧可能で、被害が深刻な場合もあり得ること
  • >ネット上の反論で名誉回復が図られる保証はない点
  • >メディア報道などと同じ基準で判断すべき

要するに,ネットの特殊性を考慮してもメディア報道など他の媒体と異なることはない,ということのようです。

*1:3/17追記:>一審・東京地裁判決は、マスコミや専門家がネットを使って情報を発信する場合と比べ、個人利用者が発する情報の信頼性は一般的に低いと指摘。「個人利用者に求められる基準の調査をして書き込んでいれば罪は成立しない」と述べ、従来の同罪の成立に比べ緩やかな基準を示して無罪とした。http://www.asahi.com/digital/internet/tky201003160454.html

*2:3/17追記:>被告側は公判で、個人として十分調査した上で記載していたと主張したうえで、反論が容易にできることなどから、新聞など従来の媒体とは異なる基準で同罪の成否を判断すべきだと主張していた。http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20100317atdg1605016032010.html