被疑者不詳

警察庁長官銃撃事件が時効=実行役特定できず−「被疑者不詳」書類送検へ・警視庁
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2010032900460
>1995年3月、国松孝次警察庁長官(当時)が自宅マンションで銃撃され、重傷を負った事件は30日午前0時、殺人未遂罪の公訴時効(15年)が成立する。警視庁は「被疑者不詳」で書類送検し、東京地検は証拠物を精査した上で、不起訴処分にする。

ゴンドラ落下2人死亡、被疑者特定せず書類送検
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20100329-OYT1T00596.htm
>東京・赤坂のマンション建設現場で2008年8月、作業用のゴンドラが落下して男性作業員2人が死亡した事故で、警視庁は29日、「事故原因を特定できなかった」として、被疑者を特定せずに東京地検書類送検した。

 長官襲撃事件は,現場の客観証拠や目撃者の供述から,犯罪事実は具体的に特定できても,単に犯人が分からなかったので犯人特定未了の事件でしょう。ゴンドラ転落事故は,事故の機序の外形的事実がわかっても原因が特定できず,予見可能性・予見義務・回避可能性・回避義務が特定できなくなって,過失が不明であり,過失責任を誰に問えるかも特定できなかった事件ということになるかと思います。後者は,果たして過失そのものが誰かにあったか否かもわからないわけで,客観的犯罪事実すらわからず特定できなかったのでしょう。
 前者は単に犯人性の問題,後者は過失の罪体を特定できず,従って犯人を特定することもできなかったとう罪体と犯人性の両方が未解明で終わった問題だろうと思います。