同一裁判体で矛盾判決?

 いいえ,刑訴法では当然なんです。刑事司法は,適正手続きで取調べ済みの証拠に基づき実体的真実を認定する場であって,純粋な客観的真実を解明する場ではないからです。*1

【郵便不正】共謀者は有罪…矛盾判決、調書採否が原因
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/100512/trl1005120845002-n1.htm
>■■■■被告に対する大阪地裁の判決は、4月28日に同じ担当裁判官3人から一部無罪を言い渡された◆◆◆◆被告との共謀を認定する矛盾した内容になった。これは、■■被告が起訴内容をすべて認めていたためで、同じ裁判官が担当している●●●●被告の公判には影響はないとみられる。
>◆◆被告の判決では、「◆◆被告の供述調書の信用性には疑いが残る」として●●被告に不正な証明書の発行を依頼していなかったと認定。「証明書は違法なものと思わなかった」とする◆◆被告の主張を認め、虚偽有印公文書作成・同行使罪は無罪とした。
>一方、元係長の▲▲被告にたびたび証明書の発行を働きかけていた■■被告は、起訴内容をまったく争わず、検察側が証拠として提出していた捜査段階の関係者の供述調書にも同意した。このため判決は「法廷で取り調べた証拠に基づく」との原則に沿って、裁判官は起訴内容をそのまま認定する形になった。

刑事訴訟法(昭和二十三年七月十日法律第百三十一号)
  第一編 総則
第一条 この法律は、刑事事件につき、公共の福祉の維持と個人の基本的人権の保障とを全うしつつ、事案の真相を明らかにし、刑罰法令を適正且つ迅速に適用実現することを目的とする。
  第二編 第一審
   第三章 公判
    第四節 証拠
第三百十七条 事実の認定は、証拠による。
第三百十八条 証拠の証明力は、裁判官の自由な判断に委ねる。

*1:コンメンタールの刑訴法1条解説や刑訴法基本書の総論総則部部分の実体的真実主義を参照してください