国際刑事法廷

元収容所長に禁固35年 カンボジアのポト派裁判初判決 2010.7.26 13:21
http://sankei.jp.msn.com/world/asia/100726/asi1007261057000-n1.htm
>判決言い渡しは、プノンペン近郊に設けられた特別法廷で行われた。法廷に現れた同被告は、青いボタンダウンのシャツにグレーのズボン姿で被告席に着き、裁判長による判決言い渡しを見つめた。
>同被告が75年から4年間、所長を務めたプノンペン市内のトゥールスレン収容所では、スパイ容疑で連行された女性、子供や外国人を含む1万5000人以上が拷問などを受け、同収容所や郊外の処刑場で殺害された。収容者で生き残ったのは14人とされる。

 偶然ですが,今週から2順目の刑法総論の勉強に入ったので,国際軍事法廷だと,罪刑法定主義から,(1)事後法制定の禁止,(2)遡及処罰の禁止……という概念が頭に浮かびました。被告らは,ポルポト政権の政府命令で拷問と虐殺したのだから,(4)違法拘束命令(違法性),(5)適法行為の期待可能性(有責性)なども頭に浮かびました。
 既に極東国際軍事裁判東京裁判*1で出尽くした論点ですし,この疑義を払しょくするため,戦争やジェノサイドを国際刑法違反とするジュネーブ諸条約*2と常設国際刑事裁判所 (ICC) 設立条約*3が締結されたわけです。*4
 ナチスドイツ,旧ユーゴスラビアルワンダ虐殺*5などがエスニック・クレンジング(民族浄化*6だったのに対して,ポルポト政権のは,エチオピアのメンギツス政権*7同様に,敵対知識階級へのジェノサイドという点で,カティンの森事件*8にも類する特異な点があると思います。
 結果は,大量の白骨死体が発掘されたという吐き気を催す蛮行であることに変わりはないのですが……。