(8/29追記)最高裁判決を認めない?

日航ニアミス裁判で労組側が批判 有罪確定見通し受け
http://www.47news.jp/news/2010/10/post_20101029130903.html
>2001年に静岡県沖上空で発生した日航機同士のニアミス事故で、最高裁が業務上過失傷害罪に問われた管制官288件2人の上告を棄却し有罪確定の見通しとなったことについて、管制官や民間のパイロットらの組合でつくる航空安全推進連絡会議は29日、「不当判決を一切認めることができない」とする声明を出した。
>声明は「再発防止には事故関係者の証言が不可欠」と指摘。「刑事罰の実例が存在すると関係者が証言をちゅうちょする。航空の安全に重大な悪影響を及ぼすことに深く憂慮する」としている。

 今回の事件は,エンルート官制官が,(1)コンクリフト状態まで回避指示を出さず,エンルートのデジタルレーダが自動的に警報を管制官に出したから,(2)遅れて回避指示を出したものの降下指示(RA)を間違えて別の機に出した,という二重のチョンボですし,(3)その横に座っていた指導官も見逃して,(4)誤指示を受けたパイロットが有視界で相手機を視認しており,怪訝ながら復唱したのに,それでも管制官は自分が出した誤指示に気付かなかった,というミスの連鎖に連鎖を重ねたものです。極めて高度な危険な緊急手術を担当した医師と全く異なります。
 しかも,医師の手術と違って,機体の操縦はDFDRに,機内のパイロットどおしの会話はDVDRに,管制官との交信はIFR交信テープに,全部記録されており,事故でパイロットが死亡しても事故原因が究明なされるシステムになっています。
 なのに管制官たちの労働組合は,本気で判決拒否のコメントを真相解明を理由にしたのでしょうか。本件は単純な「過失の競合」でとくに論点や論争点ではないと思います。車庫でバックして車の後ろで遊んでいた子供を轢いたようなもので,刑事罰を科しても科さなくも,真相解明の妨げにはならないような(以下略。
 今日の授業で教授がいってました。「自分たちに都合の悪い裁判や判決を拒否・否定するものは,自分に有利な裁判や判決の恩恵を否定するに等しい。判決を批判したいなら裁判批判を堂々と展開し,上訴や再審で争うべきだ。労働組合の多数の威力を背景に判決を拒否するのは,労働組合の不当な圧力を司法に加えるもので,組合の自殺であり,民主主義の否定である。医療過誤では判決に反対する医師が堂々と裁判批判を地道に重ねている。これを見習うべきだ。」と。