最判新判例速報

陸山会事件:小沢氏側の抗告棄却 最高裁が決定
2010年11月25日 15時51分 更新:11月25日 19時57分
http://mainichi.jp/select/today/news/20101125k0000e040086000c.html
>……最高裁第1小法廷(白木勇裁判長)は25日付で、小沢氏側の抗告を棄却する決定を出した。小法廷は「起訴議決の適否を行政訴訟で争うことはできない」との初判断を示した。
>……審査会の議決は行政訴訟の対象とならないとした最高裁判例(66年)があったが、「09年5月に強制起訴制度が導入される前の判例で適用外だ」として提訴した。
>決定で小法廷は「検察審査会の起訴議決や検察役弁護士の指定の適否は刑事裁判で判断されるべきだ」と指摘した。……

 検察審査会は,お忘れの方もいるようですが,司法府(裁判所)の機関であり行政機関ではありませんので,本来的に行政訴訟の対象外なはずです。不適法却下の門前払いが当然で司法の権威と無関係です。最判判例は裁判を受ける権利を奪う,という政治家の「独自の見解」もありますが,起訴強制の公判審理で「裁判を受ける権利」を強制的に使わされるんですけど……。
 刑訴法では,公訴権濫用論としてかねてから議論されており,検察官の公訴権は広範な訴追裁量があり,起訴自体が職務犯罪を構成するような極限状態でないと起訴無効にはならない,というのが確定した最高裁判例です。さて,検察官起訴でなく検察審査会起訴でも,この判例の射程距離内でしょうか? 起訴強制公判の判断が待たれます。