取り違いエラー

業務上過失傷害:腎臓を誤摘出の疑い 小山市民病院の2医師を書類送検 /栃木
http://mainichi.jp/area/tochigi/news/20110205ddlk09040163000c.html
>送検容疑は小山市民病院の泌尿器科に勤務していた昨年2月10日、腎臓がんで入院していた男性患者(70)の手術をしていた際、本来摘出すべき右側ではなく、左側の腎臓を摘出したとしている。医師は直後に左右を取り違えたことに気付き、左腎臓を移植する手術を行ったが、腎臓は機能せず昨年3月18日に再摘出された。
>小山署や小山市民病院によると、医師2人が患部を示すために手術前にマジックで印をつける「皮膚マーキング」を忘れたことや、CT(コンピューター断層撮影装置)で写した腎臓の画像フィルムを裏表逆にして張ったことが原因という。同病院は昨年3月29日、小山署に通報。県警が捜査していた。

 逆版は怖いですよ。絵画レゾネやカタログなら「逆版お詫びと訂正張り付けパンフ」挟めばいいですが,医療はそうはいきません。担当医は医師不足やスタッフ不足でご多忙だったと拝察されますが(公立病院ということだし!)。
 昨日,使命感に燃えた医師が過酷な勤務と遺族の感情的攻撃にさらされて自害未遂するドラマを見ましたが,医師を筆頭とする医療従事者が適切な医療環境リソース(労働環境とスタッフ配置とミス防止システム)の下で平常心で勤務できる世界を目指さないと第二第三の左右臓器取り違いミスを誘発すると思います。
 過労運転は交通事故の重要な要因なので,職業ドライバーに過労運転を強いることや容認することすら,事故やインシデントがなくても,雇用主は道路交通法75条違反です。つまり雇用主の過労運転命令や容認は,酒酔い運転命令や薬物使用運転命令に等しい犯罪です。
 つまり,人命が危険にさらされる自動車運転業務では,過労運転自体も,過労運転を命じたり容認する雇用主の業務命令ですら,事故発生以前に刑事罰をもって厳しく禁止されるくらい悪いことなのです。これが医師や医療従事者の生命身体と患者への安全医療を守る病院経営の常識となってくれればいいんですが。

道路交通法(昭和三十五年六月二十五日法律第百五号)最終改正:平成二一年七月一五日法律第七九号】
(過労運転等の禁止)
第六十六条  何人も、前条第一項に規定する場合のほか、過労、病気、薬物の影響その他の理由により、正常な運転ができないおそれがある状態で車両等を運転してはならない。
(罰則 第百十七条の二第三号、第百十七条の二の二第五号)
(自動車の使用者の義務等)
第七十五条  自動車(重被牽引車を含む。以下この条、次条第一項及び第七十五条の二の二第二項において同じ。)の使用者(安全運転管理者等その他自動車の運行を直接管理する地位にある者を含む。次項において「使用者等」という。)は、その者の業務に関し、自動車の運転者に対し、次の各号のいずれかに掲げる行為をすることを命じ、又は自動車の運転者がこれらの行為をすることを容認してはならない。
 一〜三 <略>
 四  第六十六条の規定に違反して自動車を運転すること。
 五〜七 <略>
2  自動車の使用者等が前項の規定に違反し、当該違反により自動車の運転者が同項各号のいずれかに掲げる行為をした場合において、自動車の使用者がその者の業務に関し自動車を使用することが著しく道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく交通の妨害となるおそれがあると認めるときは、当該違反に係る自動車の使用の本拠の位置を管轄する公安委員会は、政令で定める基準に従い、当該自動車の使用者に対し、六月を超えない範囲内で期間を定めて、当該違反に係る自動車を運転し、又は運転させてはならない旨を命ずることができる。
3〜11 <略>
 (罰則 第一項第一号については……第一項第四号については第百十七条の二第五号、第百十七条の二の二第七号、……)
   第八章 罰則
第百十七条の二  次の各号のいずれかに該当する者は、五年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
 一  第六十五条(酒気帯び運転等の禁止)第一項の規定に違反して車両等を運転した者で、その運転をした場合において酒に酔つた状態(アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態をいう。以下同じ。)にあつたもの
 二  第六十五条(酒気帯び運転等の禁止)第二項の規定に違反した者(当該違反により当該車両等の提供を受けた者が酒に酔つた状態で当該車両等を運転した場合に限る。)
 三  第六十六条(過労運転等の禁止)の規定に違反した者(麻薬、大麻、あへん、覚せい剤又は毒物及び劇物取締法 (昭和二十五年法律第三百三号)第三条の三 の規定に基づく政令で定める物の影響により正常な運転ができないおそれがある状態で車両等を運 転した者に限る。)
 四  第七十五条(自動車の使用者の義務等)第一項第三号の規定に違反して、酒に酔つた状態で自動車を運転することを命じ、又は容認した者
 五  第七十五条(自動車の使用者の義務等)第一項第四号の規定に違反して、第三号に規定する状態で自動車を運転することを命じ、又は容認した者
第百十七条の二の二  次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
 一  第六十五条(酒気帯び運転等の禁止)第一項の規定に違反して車両等(軽車両を除く。次号において同じ。)を運転した者で、その運転をした場合において身体に政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態にあつたもの
 二  第六十五条(酒気帯び運転等の禁止)第二項の規定に違反した者(当該違反により当該車両等の提供を受けた者が身体に前号の政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態で当該車両等を運転した場合に限るものとし、前条第二号に該当する場合を除く。)
 三  第六十五条(酒気帯び運転等の禁止)第三項の規定に違反して酒類を提供した者(当該違反により当該酒類の提供を受けた者が酒に酔つた状態で車両等を運転した場合に限る。)
 四  第六十五条(酒気帯び運転等の禁止)第四項の規定に違反した者(その者が当該同乗した車両の運転者が酒に酔つた状態にあることを知りながら同項の規定に違反した場合であつて、当該運転者が酒に酔つた状態で当該車両を運転したときに限る。)
 五  第六十六条(過労運転等の禁止)の規定に違反した者(前条第三号の規定に該当する者を除く。)
 六  第七十五条(自動車の使用者の義務等)第一項第三号の規定に違反した者(当該違反により運転者が酒に酔つた状態で自動車を運転し、又は身体に第一号の政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態で自動車を運転した場合に限るものとし、前条第四号に該当する場合を除く。)
 七  第七十五条(自動車の使用者の義務等)第一項第四号の規定に違反した者(前条第五号に該当する者を除く。)