国民多数でネット言論が後押し

エジプト:軍、暫定統治を強調 民政移管へ作業加速
http://mainichi.jp/select/world/europe/news/20110212k0000e030065000c.html
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◇エジプト政権崩壊に至った経緯◇
12月17日 チュニジアで青年(26)が政府に抗議して焼身自殺しデモ・暴動が広がる
1月14日 チュニジアでベンアリ政権崩壊
  25日 カイロやスエズなどで数万人規模の反政府デモ
  28日 金曜礼拝後大規模デモ。カイロなどで夜間外出禁止令
  29日 ムバラク大統領がスレイマン氏を副大統領に任命
2月 1日 「100万人」デモ。ムバラク大統領が次期選挙不出馬を表明
   2日 カイロで反大統領派と大統領支持派が衝突
   3日 ムバラク大統領、米テレビに対し即時辞任を拒否
   6日 スレイマン副大統領が野党勢力と対話。憲法改正委員会設置で合意
  10日 ムバラク大統領、テレビ演説で即時辞任を拒否
  11日 スレイマン副大統領がムバラク大統領辞任を発表

オバマ氏、ムバラク氏辞任を歓迎「人々の声にこたえた」2011年2月12日11時3分
http://www.asahi.com/international/update/0212/TKY201102120037.html
>今回の反政府デモで、若い世代がフェイスブックなどのネット上の交流ツールを使って活動を拡大した点も評価。「非暴力と道徳の力が、歴史の弧を正義の方向に曲げた」と語り、冷戦終結につながったベルリンの壁の崩壊や、ガンジーの非暴力運動になぞらえて、エジプト市民をたたえた。

 独裁政権がインターネットや携帯電話を遮断しても*1,インターネット&携帯経由で隣国の動きを既に知った国民が,大規模なデモという表現の自由に結集して,国軍も中立を守り,独裁政権を辞任に追い込んだ事例です。<(_ _)>
 ちなみに,エジプトは,サダト大統領が暗殺されてムバラク副大統領が大統領に昇格したのち,なんと30年間(大統領任期6年5期)も非常事態下(非常事態法)というもので,多数政党制ですが「許可制」というもので,健全な野党が育たなかった(許可されなかった)もようです。*2
 ネット経由の草の根民主主義は,政権に不都合な情報を国外から遮断しにくいですし,携帯メールで瞬く間に政治情報が国民の間に加速度的に伝搬してしまいます。政府やマスコミが情報を独占管理していたデータベース社会(情報非対称性)が終焉を遂げる傾向にあるようです。
 この事例からしても,国民の「知る権利」を含む「表現の自由」は,国民主権と民主主に基づく義立憲民主制過程(広義の政治過程)に不可欠の人権で優越的地位を有する(規制立法は違憲の推定)ことが分かると思います。*3