債権各論やっと糸冬 了

 不法行為の過失責任主義が,ハイリスク業務では,三条件付き無過失責任(自賠法)や不可抗力絶対責任(原賠法*1 )と強制保険と政府保証で修正された歴史に感じ入りました。
 いずれも最終受益者が全国民*2という観点から,公平な損益分担*3とリスクの分散で,一次的には強制保険で二次的には政府保証(補償)で*4,というシステムが見て取れます。
 医療事故(無過失)や医療過誤(有過失)も,民事的には自賠法のような強制保険で担保(補填)すれば,医療従事者の皆様の不安や負担が減るのではないかと愚考します。医療サービスの最終受益者は全国民なのですから,医療社会保険の一部に組み入れた方が公平だと愚考しました。これを債権各論の委任契約と構成するか*5不法行為と構成するかは,どちらでも商法保険法の保険理論に基づき強制保険でカバーできると思います。もちろん自賠法や原賠法のように,カバーできない部分は政府補償で。
 強制保険による民事訴訟リスクからの解放があれば,医療従事者の方々は防衛医療に走ることなく安心して質の高い医療にトライできて,結果,エンドユーザの全国民の医療福祉の向上に資するのではないかと愚考します。<(_ _)>*6

*1:原子力損害の賠償に関する法律(昭和三十六年六月十七日法律第百四十七号)

*2:自動車保有家庭率,バスタクシーの公共機関化,電気は全国民のインフラで断電防止で電力会社相互融通…から

*3:民法の基本書には「損害の公平な分担」とか「利益の存するところに不利益もまた存すべきである」と説明される先生が多いです

*4:政府補償事業掌管保険

*5:社会保険の適用のない美容整形は請負契約説もあります。「顔面の建築だから(建物建築建設は請負契約説が通説判例)」と某教授が講演で冗談を飛ばしてましたw

*6:もちろん理想的な立法論であることを自覚した意見ですが