最新判例

 民法各論ゼミでリポータに指名されました(;´Д`A ```。

懲戒呼びかけ、橋下氏逆転勝訴…最高裁判決
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110715-OYT1T00816.htm
竹内行夫裁判長は「配慮に欠ける軽率な言動だったが、違法とまでは言えない」と述べ、橋下知事に計360万円の賠償を命じた2審・広島高裁判決を破棄し、原告の請求を棄却した。

平成21(受)1905号損害賠償請求事件 平成23年07月15日最高裁判所第二小法廷判決
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=81507&hanreiKbn=02
> 弁護士であるテレビ番組の出演者において特定の刑事事件の弁護団の弁護活動が懲戒事由に当たるとして上記弁護団を構成する弁護士らについて懲戒請求をするよう呼び掛けた行為が,不法行為法上違法とはいえないとされた事例http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20110715165447.pdf
>(3) しかしながら,本件呼び掛け行為は,懲戒請求そのものではなく,視聴者による懲戒請求を勧奨するものであって,前記認定事実によれば娯楽性の高いテレビのトーク番組における出演者同士のやり取りの中でされた表現行為の一環といえる。その趣旨とするところも,報道されている本件弁護活動の内容は問題であるという自己の考えや懲戒請求は広く何人にも認められるとされていること(弁護士法58条1項)を踏まえて,本件番組の視聴者においても同様に本件弁護活動が許せないと思うのであれば,懲戒請求をしてもらいたいとして,視聴者自身の判断に基づく行動を促すものである。その態様も,視聴者の主体的な判断を妨げて懲戒請求をさせ,強引に懲戒処分を勝ち取るという運動を唱導するようなものとはいえない。他方,第1審原告らは,社会の耳目を集める本件刑事事件の弁護人であって,その弁護活動が,重要性を有することからすると,社会的な注目を浴び,その当否につき国民による様々な批判を受けることはやむを得ないものといえる。そして,第1審原告らについてそれぞれ600件を超える多数の懲戒請求がされたについては,多くの視聴者等が第1審被告の発言に共感したことや,第1審被告の関与なくしてインターネット上のウェブサイトに掲載された本件書式を使用して容易に懲戒請求をすることができたことが大きく寄与しているとみることができる。のみならず,本件懲戒請求は,本件書式にあらかじめ記載されたほぼ同一の事実を懲戒事由とするもので,広島弁護士会綱紀委員会による事案の調査も一括して行われたというのであって,第1審原告らも,これに一括して反論をすることが可能であったことや,本件懲戒請求については,同弁護士会懲戒委員会における事案の審査は行われなかったことからすると,本件懲戒請求がされたことにより,第1審原告らに反論準備等のために一定の負担が生じたことは否定することができないとしても,その弁護士業務に多大な支障が生じたとまでいうことはできない。
>(4) これまで説示したところによれば,第1審被告の本件呼び掛け行為は,弁護士としての品位を失うべき非行に当たるとして,弁護士会における自律的処理の対象として検討されるのは格別,その態様,発言の趣旨,第1審原告らの弁護人としての社会的立場,本件呼び掛け行為により負うこととなった第1審原告らの負担の程度等を総合考慮すると,本件呼び掛け行為により第1審原告らの被った精神的苦痛が社会通念上受忍すべき限度を超えるとまではいい難く,これを不法行為法上違法なものであるということはできない。 

 受忍限度を超えていないから違法でも損害賠償は認めないとい民事不法行為責任を否定した感じでしょう。刑法なら,違法だが罰するほどのものではない(可罰的違法性論)に一脈通じると思います。それにしても最高裁判例ってなかなか改行しなんですよね。