人災は忘れたころに低確率で

NASA人工衛星、日本時間24日午後0時45分から1時45分に落下 2011.09.24 Sat posted at: 12:24 JST
http://www.cnn.co.jp/usa/30004072.html
NASAは23日朝、大気圏再突入の時間や場所の特定にはあと数時間かかると発表した。しかし、NASA宇宙ゴミ問題担当者によると、金属破片が落下する正確な場所を特定するのは大気圏再突入直前でも極めて困難だという。ただ地球表面の7割は海であることから、燃え尽きずに残る金属破片の大半は海に落下するとしており、仮に地上に落下したとしても、人に当たる可能性は極めて低いとしている。

宇宙ごみ問題」深刻 衛星と衝突事故も 2011.9.24 18:43
http://sankei.jp.msn.com/science/news/110924/scn11092418440007-n1.htm
NASAによると、米国で監視対象になっている約10センチ以上の物体は2万2千個あり、運用中の衛星など約千個を除いた残りがごみ。高度800キロ程度のごみは軌道に10年以上とどまるが、高度が600キロ以下になると数年で落下。大きかったり耐熱性が高かったりして、大気との摩擦で燃え尽きない場合は地上まで到達する。

 危機管理の一連の何かの論文で読みましたが,人が一生の間に人工衛星の破片に当たる確率は数十億分の1(人の一生の期間で死ぬのは世界で1人前後)で,事故統計上は無視(安全閾値以下)できるものだそうです。滅多にない飛行機事故死率よりも相当低く,それよりも自動車事故死の確率(日本では1億分の30万;ここ10年で年間5千人程度)の方が依然として高率です。ただ,自動車事故に遭遇しても鼻の頭を擦りむいただけで終わる可能性もありますが,飛行機墜落事故や再突入衛星破片の直撃では死亡率が 99.99% なのが問題で,統計上は自動車よりも安全な飛行機事故が大々的に報道されるのは,遺体が原型をとどめていない悲惨さもあると思います。
 人災の安全統計と民心の乖離は古くて新しい問題です。大地震やタイフーンのような天災も似たところがあり,「結果の悲惨さ」も事故対策要因に加えるべきなのでしょう。不法行為の損害賠償請求には,遺族の精神的損害(慰謝料)が加味されるのが確定した判例でもあります。3代同居でかわいがっていた孫が不慮の交通事故死で精神的ショックを受けた祖父母に認められるのが典型例です。