非対称攻守の時代

 守備側は全方位多方面事象への対応が必要ですが,攻撃側(災害)はピンポイントで襲ってきて人知の想定の範囲を突破してきます。そして守備側には予算や施設やマンパワーのリソースに限界があり,人知が脳天気なら広く浅くしかできませんが,それでは非効率なので,発生事象予測分析で発生高率重大事象への重点項目で対応し*1,その他*2は全方位浅面で対応するしかありません。
 リスクスマネジメントでは,「大の虫を生き延びさせるため小の虫は見殺しにする場合もある」冷たいダメージコントロール(被害極限措置;最大多数の最大幸福という功利主義が起源)が当然の理論なのです。日本の特攻よりも冷徹な計算と人類愛なのです。戦士の名誉の名の下に一身を犠牲にして人類や同胞を救うパニック映画が過去何度もハリウッドで作られ続ける*3のは,そのためでしょう。
 日本人の非合理メンタリティ(完全主義と減点主義がベース)では,なかなか受け入れられないのは熟知してますが。

*1:過去30年間は東海大地震が最優先で東北沖は浅面対応でしたし,全電源喪失は3月上旬(震災直前)まで想定外とされてました。世界最高水準の津波防波堤が三陸沖に建設されていましたが波高約15メートルまでしか対応できていませんでした

*2:例えば,阪神大震災が襲った関西瀬戸内地方,紛体流や土石流や火砕流が襲った各地の山岳地帯

*3:インディペンデンス・デイ,ハルマゲドン,エアフォース・ワン