裁判員裁判迷走?

重大事件で相次ぐ“裁判官の追試”差戻し判決とは 産経新聞 1月3日(火)12時16分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120103-00000505-san-soci
>「赤点をもらった上に、追試までやります、と言われるようなもんです」。あるベテラン裁判官がこう嘆くのが、差し戻し判決だ。全国で年間20件前後しかない極めてまれな判決だが、近年は大阪市平野区の母子殺害放火事件や兵庫県明石市の砂浜陥没事故、山口組の元最高幹部による銃刀法違反事件など、注目度の高い事件で相次いで言い渡されている。その背景には、裁判員制度の導入に伴う裁判官の意識の変化もあるという。
最高裁や高裁が下級審の判決に誤りがあると判断した場合、その判決を破棄する。これが、冒頭のベテラン裁判官がいうところの「赤点」だ。「自分の判決がダメ出しされるわけだから、それだけで気分はよくないですよね」
>この際、上級審には、差し戻して下級審に「追試」を受けさせるか、自ら判決を言い渡す自判をするか、2通りの選択肢がある。法律判断がメーンで新たな証拠調べを行うことが少ない最高裁の場合は、差し戻すのが通例。これに対し高裁が1審判決を破棄した場合、自判するのがほとんどだ。
>だが、差し戻しに対する裁判官の意識は変わってきているという。高裁での勤務経験がある別のベテラン裁判官は「裁判員裁判という『黒船』が与えた影響が大きい」と説明する。
裁判員制度の導入が決まったのは、16年5月。その段階から、控訴審のあり方が新たな課題とされてきた。裁判員裁判が行われるのは1審だけ。国民から選ばれた裁判員が下した判断を、職業裁判官のみが審理する控訴審が破棄するのは「民意」に反しているのではないか−。
>「これまでは下級審の判決を破棄する以上、自判するのが上級審の責任だという自負があった。しかし裁判員裁判に限らず、差し戻しへの抵抗感が薄れたのは間違いない。むしろ重大な事件であればあるほど、差し戻して慎重に審理するという意識が芽生えましたね」
>だからといって差し戻し審が、単に上級審が求めた通りの「回答」を示すだけの追試になるとは限らない。
>……しかし地裁は「証拠関係が同じであれば、最高裁の判断に拘束される」としながらも、差し戻し審で新たに証人9人など新たな証拠を取り調べたことを挙げ、「上告審当時とは証拠関係が異なるため、最高裁判決の拘束力からは解放されている」と結論付けた。

<首都圏連続不審死>裁判員の任期100日間 5日選任 毎日新聞 1月3日(火)21時18分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120103-00000078-mai-soci
>首都圏連続不審死事件で、練炭自殺を装って男性3人を殺害したとして殺人罪などに問われている木嶋佳苗被告(37)のさいたま地裁(大熊一之裁判長)での初公判(10日)に向け、審理する裁判員が5日に決まる。裁判員の在任期間は過去最長の100日間。候補者は過去最多の330人で、ここから選任される6人の裁判員が、殺人や詐欺など計10事件を一括審理する。被告側が殺人罪で無罪を主張する中、死刑求刑の可能性もあり、審理期間、内容ともに裁判員の負担は多大だ。
>一連の事件は、目撃者や物証が乏しい上、当初自殺と判断され司法解剖されなかった遺体もある。検察側は状況証拠の積み重ねで「被告以外の犯行はあり得ない」として有罪立証を目指す。公判で尋問される証人は延べ63人に上る。

 いずれも裁判員裁判で想定された極端レアケースだそうですが,産みの苦しみで軟着陸(ソフトランディング)となるのか,新制度の疲弊で制限・停止・廃止方向へ向かうか,見守りたいと思います。第二次世界大戦前まで日本で施行された陪審員裁判は停止されたままでまだ廃止されていません。(゚Д゚)マヂデス

昭和十八年法律第八十八号(陪審法ノ停止ニ関スル法律)
(昭和十八年四月一日法律第八十八号)最終改正:昭和二一年三月二三日勅令第一六一号
http://law.e-gov.go.jp/cgi-bin/idxselect.cgi?IDX_OPT=1&H_NAME=%8f%ba%98%61%8f%5c%94%aa%94%4e%96%40%97%a5%91%e6%94%aa%8f%5c%94%aa%8d%86%81%69%94%86%90%52%96%40%83%6d%92%e2%8e%7e%83%6a%8a%d6%83%58%83%8b%96%40%97%a5%81%6a&H_NAME_YOMI=%82%a0&H_NO_GENGO=H&H_NO_YEAR=&H_NO_TYPE=2&H_NO_NO=&H_FILE_NAME=S18HO088&H_RYAKU=1&H_CTG=1&H_YOMI_GUN=1&H_CTG_GUN=1

陪審法 ハ其ノ施行ヲ停止ス

   附 則
 1 本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
 2 本法ハ本法施行前陪審手続ニ依ル公判期日ノ定リタル事件ニ関シテハ之ヲ適用セズ本法施行前其ノ裁判ノ確定シタル事件ニ関スル陪審法第四章又ハ第五章ノ規定ノ適用ニ付亦同ジ
 3 陪審法ハ今次ノ戦争終了後再施行スルモノトシ其ノ期日ハ各条ニ付勅令ヲ以テ之ヲ定ム
 4 前項ニ規定スルモノノ外陪審法ノ再施行ニ付必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム

   附 則 (昭和二一年三月二三日勅令第一六一号)
本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス

 本文が短文1行しかない最短立法で附則の方が長く項分けされた法律です。