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強盗容疑で元弁護士逮捕=無銭飲食、従業員殴る−大阪府警
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2012091400748
>無銭飲食し、店の従業員を殴ったとして、大阪府警曽根崎署は14日までに、強盗容疑で大阪市北区山崎町、元弁護士の無職大山良平容疑者(65)を現行犯逮捕した。「後払いするつもりで、正当防衛として殴った」と容疑を否認している。
>逮捕容疑は12日午後1時半ごろ、同市北区のホテル1階喫茶店で、ケーキセットとビールの飲食代1550円を支払わず、逃げる際にホテル従業員男性(40)の顔面を数回殴った疑い。
>同署によると、大山容疑者は会計時、持っていた弁護士時代の名刺に支払日を書き込み、従業員に差し出したが断られ、事務所で事情を聴かれていた。所持金はなかったという。
大阪弁護士会によると、大山容疑者は禁錮以上の有罪が確定し、昨年10月に弁護士資格を喪失した。(2012/09/14-17:35)

 請求された債務(代金)の支払いを免れる目的で相手の犯行を抑圧するに足りる暴行脅迫を加えれば強盗利得罪(2項強盗)が成立します。代金請求はホテルとして正当な業務行為ですから,正当防衛の「不正な侵害」に該当しないのは当然で,元弁護士の「正当防衛の主張」は噴飯心外もので,司法試験には不合格でしょう。事実認定の問題点としては,相手の顔を数発殴った程度や(どのような態様で)逃走しようとしたか等の四囲の状況をみないと「相手の犯行を抑圧するに足りる暴行脅迫」に該当するかどうか慎重な判断が必要だと思います。犯行を抑圧する程度までいかず畏怖(怖がらせた)に止まれば2項恐喝です。
 最初から無銭飲食する犯意だったら,代金の支払う意思がないのを隠して注文し飲食物の提供を受けた段階で,飲食「財物」の詐欺罪(1項詐欺)が既遂に達するので,その後,代金請求時点で強盗利得罪(2項強盗)又は恐喝利得罪(2項恐喝)を働いたら,成立する犯罪(個数)と罪数はどうなるか?*1これは亡父の受験時代の口述過去問にありました。(^^ゞポリポリ

(強盗)
第二百三十六条 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。
 2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
(恐喝)
第二百四十九条 人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
 2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
(詐欺)
第二百四十六条 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
 2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

*1:詐欺罪とは別に強盗恐喝が成立するか?成立するとしたら同一の被害法益を二重に評価して不当ではないか?詐欺と強盗恐喝の罪数はどうなるか?併合罪か科刑上一罪(観念的競合or混合包括一罪)か本来的一罪(吸収関係)か?