緘口令と解禁

 葬儀の席で父の功績が数名の人から3各国語で紹介されたが(もちろん同時通訳付き)、実の娘でも半分は初めて聞く話だった。日本語の紹介によると、父は多数のギルド的ヲタク的なメーリスに参加していたが、意外なことにブログもBBSもやっていなくて投稿オンリーだったという。ザッツオール。
 そして、父の遺志としてネット上のハンドルでは父の昇天について、6カ月間の緘口令が関係者に依頼された。私は無駄だと思った。内外合わせた参列者2000人以上の人が耳にしているからだ。特に米国の某サイトでは、父の昇天が洗礼名で広報されて追悼投稿が殺到しているのをこの目で見ていたからである。ミッション、インポッシブル。
 しかし、ウンカ月は緘口令が守られた。もちろん、現実社会では、洗礼名でも実名でも父の他界は広報されたし(公務員であるから死亡通知は公務員ネットで広報される)、あれだけの葬儀を目撃した第三者(雑踏警備に来てくれた警察官や元職場の公務員さん)だけでも数十人は下らないはずだが、メーリスを除き、ハンドル人格としての父は無名だった。実名とハンドルがカットオフされていたのだろう。アイソレーション
 ウン週間前、とうとう緘口令が某巨大掲示板で破られた。メーリス幹部が鳩首会議を拡大メーリスで開いて、不本意ながらネット緘口令解除を決めた。しかし、あくまでハンドルXXXXXが昇天したことを公開して妨げない、というだけで、ハンドルと現実社会の父とのリンケージとなる学歴、職歴、宗教歴、資格、肩書、家族関係などはカットオフが守られた(というかメーリスでも知らない人の方が多数派だそうだ)。