薬物法廷

 といってもノリピー法廷やお塩法廷ではない。英米のドラッグコートの直訳である。ここでは刑罰の一種として「ドラッグ・リハビリ・リクワイアメント」つまり「薬物治療(リハビリ)命令」という判決を下す専門の裁判所である。この命令が活況を呈したのが,意外や意外のベトナム戦争軍事法廷なんだそうで,ベトナムシンドローム*1で異国の地で厭世感を薬物で紛らわすためヘロインジャンキーとなり,*2 薬物妄想で上官を射殺したり同僚と刃傷沙汰に及んだ兵士に対して,リハビリオーダー*3が頻発したのが起源とされている。*4
 ヘロインやコカインのハードドラッグの禁断症状・依存性・親和性は,アルコホリックやニコチンフォリックの比ではなく,アイソレーション下でディバイディング・リハビリ(禁絶処置)をしないと絶対に完治しないのだという。奥様ペプ先生によれば,イスラエル軍事病院は世界でトップクラスのドラッグリハビリプログラムがあるそうで,なんでイスラエルに?と聞いたら,「軍事機密ダカラ詳シク言エナイヨ。アソコハ中東ダカラ。ザッツオール。」とのこと。*5 ペプ奥様先生によれば,「ドラッグ=ダウン系(弛緩陶酔マタ〜リ)が世界の大半なのに,日本はドラッグでもイクセプトワンで,これだけアップ系(薬物で気分高揚ガンバリズム)のドラッグが主要に蔓延しているのは珍しい。」と興味津津。「日本人は勤勉ワーカーフォリックだからアイス(覚醒剤)かな? 最近はカンナビス(大麻)が若年者に急速に普及しているのは,日本の若者が国際標準化(ナショナルスタンダードライズ)したのかor軟弱(チキン)になったのか。」と言いながら,盛んにメモを取っていた。*6

*1:今なら,戦闘作戦行動に伴う凄絶悲惨な体験でPTSDとなり社会不適応を起こす症状

*2:ベトナム米軍休暇兵のレスト&レクレーションへの北京ベトナムの麻薬戦略が原因らしい

*3:軍法会議だからリクワイアメントでなく軍令のオーダー

*4:勇猛果敢なマリーンが繰るコブラやF4対地攻撃も,白い粉の絨毯爆撃に負けたわけだ

*5:戦場即効沈痛注射のモルヒネはヘロインから作られる依存性が極めて強い麻薬である

*6:軍のR&Rや諜報員獲得と言えばアレキサンダー大王時代から「女性と酒」なのだが,近代・現代戦では「異性とドラッグ」でも等号が成立するらしい。特に現代戦では女性の軍職場進出が著しく,大抵の国では女性が最前線に出ることはないが,イスラエルでは女性の前線勤務も普通に行われている。なお,ペプ奥様先生の得意な戦場料理はチキンカレーだってw