鉄道事故の回避可能性

 なお,鉄道事故は,制動距離*1内の飛び出しでもない限り,回避可能性は問題にならないようです。鉄道は1次元走行*2しかできないので,事故現場手前で止まることができたかどうかだけだからみたいです。
 なお,過失は,厳密にいえば

(1) 予見可能性
(2) 予見義務
(3) 回避可能性
(4) 回避義務
(5) 期待可能性

ですが,講学上は

(a) 犯罪事実の表象(認識と予見)・認容の欠如
(b) 不注意(無意識的人格態度)
(c) 期待可能性

というカテゴライズで説明する教授も多いです(団藤「刑法綱要総論(改訂版)」315〜323頁)。この場合の(b)は上記(1)〜(4)の概念をまとめた上位概念(大項目)と理解されるといいと思います。ここまで理解するのに私は約1年かかりましたが。(^^ゞポリポリ

*1:参考:旧鉄道運転規則(運輸省令第十五号)第54条(列車の非常制動距離)「非常制動による列車の制動距離は、六百メートル以下としなければならない。」は現在廃止。http://ja.wikipedia.org/wiki/600m%E6%9D%A1%E9%A0%85

*2:前進・停止・後進しかできないからハンドルを左右に切ったり上昇降下で避けることができない