業務上過失

業務上過失とは,単に業務者の業務に関する過失というだけでなく,「業務上必要なる注意を怠る」こと(211条等)である。……業務上過失は,行為主体が業務者であるために(身分犯),とくに重い注意義務が課されているのである(八)。
(八)これはわが国の通説のみとめるところである。判例として,最一判昭和二六年六月七日……。
<団藤「刑法綱要総論(改訂版)」320〜321>

 それで身分犯の典型例である自動車運転免許がは,通常の道路交通関係業過(自動車運転過失致死傷)として,特に重く処罰されるわけである。たとえ無免許であっても。
 なお,「業務」とは,人が社会生活上の地位に基づき反復又は継続する事務を言い,必ずしも職務又は職業としてなされることを要しない*1と定義される。そこで,主婦の失火は業務上失火に該当するか,という難問が司法試験用に作出されるそうだ。結論は消極に決まっているけど,その理論的根拠となると院生レベルでも言葉に詰まる人が少なくないそうだ。

*1:大判明治45年3月18日・刑録18−244