あらためて……

時代を駆ける:川口淳一郎/1 「はやぶさ」帰還に涙
http://mainichi.jp/select/opinion/kakeru/news/20100629ddm012070039000c.html
>《パソコンを開き、動画を見つめた。長年育て上げたはやぶさが、光り輝きながら散っていく。こみあげるものを抑えられず、涙がこぼれた。「クール」と評されるリーダーの涙》
>心の中で「ありがとう。よくやったね」と。後の作業があり、研究室にいた時間は5分ほどだったと思います。
>《その直前、はやぶさに送った最後の指令は、地球を撮影することだった》
小惑星イトカワの試料が入っている可能性があるカプセルを分離すると、機体の姿勢が大きく乱れます。一方、大気圏突入まで残された時間は3時間。その間に、機体のカメラが地球に向くタイミングを待たねばなりません。何枚撮っても、うまく地球が入らない。地球が写ったのは、最後の1枚だけでした。
>《満身創痍(そうい)のはやぶさを守るため、帰路は不要な機器の電源を切っていたので、動く保証はなかった。だが、カメラは動いた。地球が明るすぎて入った幾多の白い筋の向こうに、ぽっかりと浮かぶ丸い地球の姿をとらえた》
>涙でかすむ目で地球を見たような画像でした。やっと、はやぶさに地球を見せてあげられた。母港へ帰ってきた証拠だから、絶対に撮りたかった。「できるわけがない」と言われた小惑星への往復飛行は、はやぶさ自身の協力があったからこそ、達成できたと感じています。

 満身創痍となりながら,カプセルという貴重な資料を後世の人のために託して姿勢を乱し,燃え尽きる寸前の最期の力を振り絞って……,そして燃え尽きた。遺言でもあるカプセルは「はやぶさ君」の人生総決算の日記でありメモランダムの記録でしょう。