日本人のメンタリティ

2011年09月08日 09時00分49秒
いつ来るか分からない15分のために常に準備をしているのがプロ、デザイナー奥山清行による「ムーンショット」デザイン幸福論
http://gigazine.net/news/20110908_moonshot_design_cedec2011/
>面白いのは日本の議論の仕方っていうのが、何かと個人攻撃になってしまうこと。これは日本の言葉の作りっていうものがどうしても目上とか目下とか、男性とか女性とか、自分の相手に対する相対的な位置を示す感情を表す言葉があるのに対して、英語とかイタリア語っていうのは非常に少ない言葉で情報の内容を的確に相手に伝える言語の作りなんです。だから、誰が何を言うかってことは重要なじゃなくて、その話の内容の方が重要だって順序になってる。だから日本語で、実は個人攻撃にならない議論の仕方というのは非常に高度な議論力が要るというふうに思います。僕はこれを小学校で教えられなかったので、社会人になって必死の思いでイタリアで勉強しました、議論の仕方というのを。この「議論の仕方」をひとつの技術として、僕らは学ばなくちゃいけないんだなってつくづく思いました。
>これからは、会社という組織が逆に膨れていくか、どんどん崩壊していくか、その両方がこれからどんどんこの今後の50年間で起こってきます。それで重要になってくるのが、これは日本経済新聞に載せた記事なんですけれども、会社と個人、あるいは自分のキャリア、仕事と個人というバランスシートがあって、日本の特に若い人に強く言いたいんですけれども、勘違いしているのは、若い人が特に勘違いしているのは、自分は会社とか仕事から得るものだけ得て、一番得た時点で次のステップに移っていくのがキャリアアップである、と。実はこれ大きい間違いでして、自分が与えたものと相手からいただいたものの中で、相手にあげた方の大きい場合に、次の仕事につながります。これはアメリカとかヨーロッパの契約社会で非常に重要な考え方で、得たものよりも与えたものの方が多いことが大切なんです。それでこの人間は優秀であるという名声が広がって、きちんとしたお給料なり、それに対する対価をいただいて、次の仕事をもらうという仕組みを作るのが、実はプロとして非常に大切なこと。なんか高校の話みたいですみません。プロの皆さんを前にして。ただ、非常にその基礎が日本に帰ってきて成り立っていないのでびっくりしました。
>僕が言いたいのはふたつ。ひとつには、その時この絵を準備してなかったら、僕らはおそらく一生この車の日の目を見ることはなかっただろうし、そのチャンスを生かすこともできなかった。いつ来るか分からない15分のために、常に準備をしているのがプロで、来ないかもしれないからと言って準備をしないのがアマチュア。それだけの違いだと思います。プロとアマチュアというのはそんな小さい違いだと思ってます。そしてもうひとつ、僕の上司は僕がこの絵を描いてたことを知ってたんですね。そういう信頼関係というか、よく周りの人間のことを見ていて、万が一のために誰を使うか、どういう風にその15分を生かせるかということを見ていた僕の上司もすばらしいという風に思います。今でも友達です。
>……自分は会社に何年もいるからこの会社のことを一番知っている、でもこのゲームを何年も作っているから意外とあなたが一番よく知ってない。意外と他の人の方が分かってることがあるっていうことを理解して、外の人間と自分の能力をよく使い分けていただきたいなと思います。
>技術とか人っていうのはお金があるところと、実際に実験をして実用化したところに残るんですね。技術は、あるいはアイディアは、発明したところには残りません。技術は使った人のところに残ります、マーケットとして。だから日本人が作ったアイディアなんだって言っても誰も見てくれなくて、お金を出して採用してくれて、実際に使った人の技術になります。それが現実なんです。皆さんもよく分かってらっしゃると思う。金出して使った人勝ちなんです。作った人じゃないんです。
ムーンショットというのは、「That's a moonshot」とか「He is in the moonshot shell」とか言うとですね、月に向かって鉄砲を撃つ、と。初速と同じスピードで弾が落ちてきて自分に当たって危険だとか、あるいは絶対届くわけがないということで、不可能で危険なことに挑戦する馬鹿なやつだという言葉の意味だったんです。「That's a moonshot」って言うと「また馬鹿なことやってるな」と。でもアポロ計画で月面に11号が着陸した後、ディスカバリーチャンネルムーンショットっていう番組を作りました。要は、不可能だと思われても、それに向かって夢を持って努力すれば、それはかなうんだ、と。その可能性はあるんだという意味に変わってきたのがムーンショットっていう言葉です。

 法学部のゼミでも,他説批判は上手なのに自説の根拠付けが下手(多数),自説が貫徹されれば他人は知ったこちゃない(少数),外出中の直下型地震に備えない(私以外全員),俺は民法一番長く勉強したから一番よく知っている(1人),俺は頭がいいのにどうして合格しないんだ(先輩某),統計上は司法試験に合格するのは数パーセント(全員)という日本人メンタリティの百家争鳴状態です。奥山先生の講演は示唆に富むものばかりで感銘を受けました。m(_ _)m多謝。