偽造(変造・行使)概念

  • 「最広義の偽造」=「広義の偽造」+「行使」
  • 「広義の偽造」=「狭義の偽造(広義の有形偽造)」+「広義の無形偽造」
    • 「狭義の偽造(広義の有形偽造)」は,文書の作成権限のない者が名義を偽る行為
    • 「広義の無形偽造」は,作成権限のある者が文書の内容を偽る行為
    • 「広義の有形偽造」=「最狭義の偽造(狭義の有形偽造)」+「有形変造」
  • 「最狭義の偽造」は,作成権限のない者が,他人の名義を冒用して,新たに文書を作成する行為(刑法各条文に規定されている「偽造」は全てこれ。154条1項・155条1項・同条3項前段・159条1項・同条3項前段)
  • 「有形変造」は,作成権限のない者が,真正に成立している他人名義の文書に変更を加える行為(刑法条文上の「変造」は全てこれ。154条2項・155条2項・同条3項後段・159条2項・同条3項後段)
  • 「広義の無形偽造」=「虚偽作成(狭義の無形変造)」+「無形変造」
  • 「虚偽作成(虚偽文書の作成)」は,作成権限のある者が,新たに真実に反する内容の文書を作成する行為(156条前段・160条)。
  • 「無形変造」は,作成権限のある者が,真正に成立している自己名義の文書に変更を加える行為(156条後段の「変造」のみ)

 大塚各論の基本書を何度読んでもよく判らず,とりあえずレジュメ化したのが↑です。間違いや勘違いがあったら教えてください。<(_ _)>
 講学上の概念は厳密に定義されていても,最広義・広義・狭義・最狭義及びそのバリエーションがあるので,「定義を宣言*1」しないで,改ざんだ,改変だ,偽造だ,変造だと議論するのは愚かしいことです。だけど,刑法の偽造概念は概念が大杉。アセアセ。「偽造」という言葉の中に「変造」「虚偽作成」や「行使」まで含む場合の定義があるなんてチーーッとも知りませんですた(゚Д゚)マヂデス。

*1:英文契約書の冒頭にある「デクレア・チャプタ」がその典型。「人」や「家畜」や「貸借」の定義が元から厳密かつあらゆる例外を含めて更に厳密に定義されていて,日本の感覚なら,ここまで定義して書くか!英文契約書は契約当事者不審(不信)の構造かい!と思うくらい(汗